*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

「おい、お前、大人しそうな顔して、3股かけてるんだって?

どうせ、ヤリまくってんだろ?俺達とも、気持ちいい事しようぜ?」


そう言って綾香の兄らしき男が、親指で私の顎を押し上げて、無理やりキスをした。



「・・・んっ!」


男の舌が、私の中に侵入してこようと、無理に私の唇をこじ開けようとする。


このまま好き勝手されて、たまるもんですか!


男の薄い唇を、噛みちぎるくらいの力で、思い切り噛んだ。


「・・・っ!てめぇ、何しやがる!」


そう言って、怒り狂った男は、私の左頬を思い切りひっぱたいた。


じんじんと痛む頬と、口中に広がる血の味が、私の不安を煽る。


男の口元からは、真っ赤な鮮血が流れ、自分の手の甲で拭うと、鬼の形相で私を睨みつけた。

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