* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「清四郎は手を出すな。あいつの事、頼む。」
清四郎は、柏原の言葉に頷くと、私の方へと足を進めた。
「おいっ!それ以上近付くと、本当に刺すぞ!」
男のナイフが少し震え、首筋にチクリと痛みが走る。
「君には出来ないよ?出来るものならやってみればいい、さあ?」
清四郎は笑いながらそう言って、近付く足を止めなかった。
ちょっと、何笑ってんのよ!
ひょっとして、楽しんでる!?
・・・いや、笑っているように見えるだけで、目が笑っていない。
男は、殺気すら伺える清四郎の目に、怖気づいたのか、
ナイフを落とし、ガタガタ震えながら腰を抜かしていた。
「あーあ、張り合い無いっすね、先輩?」
清四郎はそう言って、器用にナイフをクルクルと回し、折りたたんで男に返した。
「ひぃぃぃぃぃっ!」
そう言って男は、抜かした腰で必死に後ろに逃げ、あろう事か、温かい液体を漏らした。