* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「あー!段々ムカついてきた!」
私は、清四郎が入ってきたドアを開けると、部屋を出た。
前に来た時は、じっくり見る余裕なんてなかったけど、ドアの外は、体育館ですか!?って聞きたくなるくらいの広い部屋で、
オープン型のアイランドキッチンや、長いテーブルもあり、中央にある大きなソファーには、偉そうに踏ん反り返って座る柏原の姿。
バスローブに、ワインが似合いそうだな・・・。
ルネッサーンス!!
とワイングラスを高く掲げ、脳内髭男爵が現れそうになる所を、必死に追いだす。
冗談なんて、言ってられないのよ!!
私は、怒っているんだから!
私が言葉を発するより先に、気配に気がついた柏原が私の方を振り返った。
その顔があまりに穏やかで、不意打ちをくらったように、私は何も言えなくなる。
「もう大丈夫か?」
「う、うん。」
トクン・・・。
そんなに優しい顔をされると、また、心臓がスピードを上げちゃうじゃない。
しばらく私を捉えて離さない柏原の瞳から、目をそらせずにいた。