*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

「なんなのよ、あいつは!」


近くにあったクッションを一つ手にとって、思い切りソファーへと投げつけた。


「お二人とも、意固地になり過ぎですわ。」


二人きりになった部屋で、瞳ちゃんがクッションを直しながら、静かに呟やいた。


「もっと素直になるべきです。見ていてじれったいです。」


瞳ちゃんは、そう続けてソファーへと腰を下ろし、私も続いて少し離れて横に座った。



「私だってそんなつもりは・・・、あいつがいつも勝手に怒ってて、今だって・・・。」


核心をついてくる瞳ちゃんの言葉に、思わず語尾が小さくなる。


「確かに柏原様の優しさは、伝わりにくいかもしれません。」


「伝わりにくいどころか、優しさのカケラもないよ。」


あんな風に怒って出て行かなくてもいいじゃない。


「分かって差し上げて下さい。今、部屋を出ていかれたのも、

こうゆう時は、女同士のほうがいいだろうからって、おっしゃっていたんですよ?」


< 140 / 281 >

この作品をシェア

pagetop