* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「なんなのよ、あいつは!」
近くにあったクッションを一つ手にとって、思い切りソファーへと投げつけた。
「お二人とも、意固地になり過ぎですわ。」
二人きりになった部屋で、瞳ちゃんがクッションを直しながら、静かに呟やいた。
「もっと素直になるべきです。見ていてじれったいです。」
瞳ちゃんは、そう続けてソファーへと腰を下ろし、私も続いて少し離れて横に座った。
「私だってそんなつもりは・・・、あいつがいつも勝手に怒ってて、今だって・・・。」
核心をついてくる瞳ちゃんの言葉に、思わず語尾が小さくなる。
「確かに柏原様の優しさは、伝わりにくいかもしれません。」
「伝わりにくいどころか、優しさのカケラもないよ。」
あんな風に怒って出て行かなくてもいいじゃない。
「分かって差し上げて下さい。今、部屋を出ていかれたのも、
こうゆう時は、女同士のほうがいいだろうからって、おっしゃっていたんですよ?」