*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

「おい!」


「は、はいっ!」


静かな空間での、突然降った大きな声に、私の声は2トーンほど高くなる。


「行かないのかよ!」


「へっ?どこへ?」


ま、まさかベッドルームとか、言わないでしょうね?


私は静かに後ろへ1歩、後ずさりをした。


「お前、ふざけてるのか?人が送ってやろうとしてるのに。」


「え?あぁ、そっち?!」


若干、怒りのこもった声に、もう一歩後ろに下がりながら答えた。


「何を訳の分からない事を言ってるんだ。さっさと行くぞ。」


そう言って、先に足を進める柏原。


そうだよね、帰るに決まってるし!


これじゃあ、私が変態じゃないか!!


耳まで熱くなる顔を見られないように、柏原よりも少し後ろを歩いた。


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