*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

「ちょっと待ってよー!」


やっとの思いで追い付くと、柏原は前を向いたまま一言。


「ついてくんな!」


な、なんですとーーーぉ!


「あんたねー!」


そう言って先回りをして覗くと、街の明かりに照らされた柏原の顔が、ほんのり赤く染まり、

照れくさそうにそっぽを向いたから、私の顔まで赤くなっていくのが分かった。


「どうせ同じ方に行くなら、並んで歩こうよ。」


こうなったら、本屋に用事がある設定で、話合わせてあげるわよ。


素直になれって、瞳ちゃんにも言われちゃったしね?


「そこまで頼まれたら仕方ねえな。一緒に歩いてやるよ。」


そこまで頼みました?私。


でも、こいつの照れ隠しだって分かってるから、あえて突っ込まないでおこう。


< 155 / 281 >

この作品をシェア

pagetop