* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
並んで歩く、家までの道のり。
車道側を歩いたり、人に当たらないように、さりげなくエスコートしてくれる紳士的な態度に、
私はドキドキが収まらなかった。
このドキドキが伝わるのが怖くて、ついつい何も言えなくなってしまう。
「お前、何か大事な事、忘れてない?」
最初に沈黙を破ったのは、柏原の方だった。
「大事な事?」
何だろう・・・。
「あーーーーーっ!」
そう、大事な事を、すっかりすっぽり、忘れ去っていた。
「どうしよう、どうしよう!バイトの事、すっかり頭から飛んでた!」
慌てふためく私を見て、何故か怒りを見せる柏原。
「違うし!しかも、遅っ!バイトならとっくに、お前が寝てる時、俺が連絡入れといた。」
「なんだ、良かった。ありがとう。でも、その事じゃ無いなら、大事な事って何?」
バイトより大事な事を忘れてる?