* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「泣くほど嫌かよ。」
淋しそうに呟く柏原の声に、ようやく現実の世界に引き戻される。
「え?」
「お前が、俺様の事が嫌いなのは知ってるよ。だから言うつもりなんか、無かったのに。
お前といると、調子が狂って仕方がない。」
そう言って、照れくさそうに笑う柏原。
「ごめん、これは、そういうんじゃなくて。」
手の甲で涙を拭い、再び歩き始めながら続けた。
「びっくりしちゃって。だって、あんたは私の事、大嫌いだって思ってたから。」
「お前、ほんとバカ。大嫌いな奴の事、あんな風に助けに行くかよ。
っつーか、上手い具合に話、はぐらかされたけど、お前、大事な事忘れてるだろ。」
急に思い出したように、途中で話を変える柏原。
えっ?今、その話に戻るわけ!?
そんな話、してた事すら、忘れてたし!
ってゆうか、話変えたの、そっちじゃ無かった?
榊原くんと付き合ってるとか、なんとか。
おっと、この話をぶり返すと、またややこしくなるから止めておこう。