* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「だから、何なのよ。大事な事って。」
「お前、あの時俺が助けに行かなかったら、どうなってたと思う?」
「どうって・・・。」
そりゃ、あんな事や、こんな事や、とても口では言えないおぞましい事になっていたわよ。
だから、何が言いたいのよ!
「少しは、感謝されてもいいと思わねえ?俺。」
「なーんだ、そんな事。大事な事って言うから、何かと思ったよ。」
こいつ柄にもなく、恩着せがましい事を言うのね。
なんて、ちょっぴり軽蔑の眼差しで柏原の方を見た。
「なーんだ、そんな事。
じゃねえよ!俺様が、どれだけ心配したと思ってるんだ!」
さっきまで、照れ笑いをしていたなんて、微塵も感じられない位の、鬼の形相俺様柏原が、
鼓膜が破れるかと思うほどの大声で、怒鳴りつけた。
さすがの私も、鬼には敵わない。
「ご、ごめんなさい。」
怯え過ぎて、震える声を必死に絞り出す。
その言葉を最後に、また沈黙の空気が私たちを包んだ。