* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
カーン、カーン
澄んだ鐘の音色が、一日の終わりを告げる。
高校生活一日目は、あれから思ったより平穏に過ぎ去った。
「いけない、バイトバイト!」
6限目の教科書をカバンに押し込むと、足早に教室を出た。
「サラちゃん、バイバイ。」
ご機嫌な清四郎の声が後ろで聞こえたけど、軽くスルー。
今までは、近所のコンビニでバイトをしていたけど、少しでも長く働けるように、
今日から学校の近くにあるファミレスでバイトを始める。
まだ時間には余裕があったけど、新しいバイトへの期待で足取りも弾んだ。
基本的に、働く事が好きなのよね♪
ファミレスが見えてきたところで、朝、お母さんが体調悪そうにしていたのを思い出した。
バイトが始まると、5時間は電話できないし、電話してみようかな?
・・・と、携帯、携帯・・・?
・・・・・・ない!ない!ない!ない!!
確かカバンに入れておいたはず・・・。