* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
テラスでお茶を楽しむ生徒や、ジムで汗を流す生徒の横を通り過ぎ、教室のある校舎の奥まで来ると、
さっきまでの賑やかさは無く、人の気配がしないこの空間を、少し無気味にも思う。
教室に入ると、真っ赤な空に照らされた赤い空間に、走ってかいた汗が、すぅっとひいて、背筋に悪寒が走った。
「早く探さなきゃ!」
静かな空間が怖くなって、大きな独り言を言ってしまう。
しゃがんで四つん這いになり、頬が床にくっつきそうな位置であたりを見渡した。
机の下にもぐって、必死で探すけど、それらしいものが見当たる気配がないどころか、ピカピカの床には、埃ひとつ落ちていない。
ハーッとため息をついたところで、ガチャンと扉が開く音がした。
ガンッ!
「痛っ!」
驚いた拍子に立ち上がった私は、机の裏側の、固いスチール部分で頭を強打した。
今日は、なんだか痛い思いばかりしてる・・・。