* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
痛む頭を押さえながらドアの方を見ると、見覚えのあるストラップを持って、
携帯を揺ら揺らさせている男がこっちを見ている。
「探し物、これだろ?」
口角を上げ、ニヤリとほくそ笑むのは、柏原だ。
目が笑っていないように見えて、とても怖い。
「あああありがとう。助かった。」
噛み噛みの私が、携帯を取ろうと近付くと、柏原は後ろ手に鍵を閉めた。
自分の身に起こっている事が理解出来ずに、足に根が生えたように動けなくなる。
面倒くさそうに、柏原が口を開いた。
「俺様の彼女にしてやってもいいぜ。」
「は?」
こいつ、何言っちゃってんの?
「お前みたいな女、大嫌いだけど、俺様はブスにも寛大だ。俺様の女にしてやってもいいって言ってるんだ。
っつっても、大勢の中の一人だけどな。」
そう言って、満足げに笑う。
「あんた、正気?何言ってんの?
私が、あんたと付き合いたいと思ってると、思ってるわけ?」
「そりゃそうだろ、俺様と付き合いたくない女がいたら、お目にかかってみたいぜ。」
本気で言ってる所が、逆にすごいよ・・・。