*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

痛む頭を押さえながらドアの方を見ると、見覚えのあるストラップを持って、

携帯を揺ら揺らさせている男がこっちを見ている。


「探し物、これだろ?」


口角を上げ、ニヤリとほくそ笑むのは、柏原だ。


目が笑っていないように見えて、とても怖い。


「あああありがとう。助かった。」


噛み噛みの私が、携帯を取ろうと近付くと、柏原は後ろ手に鍵を閉めた。


自分の身に起こっている事が理解出来ずに、足に根が生えたように動けなくなる。


面倒くさそうに、柏原が口を開いた。


「俺様の彼女にしてやってもいいぜ。」


「は?」


こいつ、何言っちゃってんの?


「お前みたいな女、大嫌いだけど、俺様はブスにも寛大だ。俺様の女にしてやってもいいって言ってるんだ。

っつっても、大勢の中の一人だけどな。」


そう言って、満足げに笑う。


「あんた、正気?何言ってんの?

私が、あんたと付き合いたいと思ってると、思ってるわけ?」


「そりゃそうだろ、俺様と付き合いたくない女がいたら、お目にかかってみたいぜ。」


本気で言ってる所が、逆にすごいよ・・・。

< 21 / 281 >

この作品をシェア

pagetop