* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「なんで私が、あんたの事を好きだと思うわけ?」
「勘。」
「勘ってあんた、私、あんたの事、よく知らないし、名前すら今朝知ったくらいだし。」
「だから?」
「だから?って、あんたバッカじゃないの?私、あんたみたいな男、大っ嫌いだから。うぬぼれるのもいい加減にして?
あんたの彼女?地球上に、あんたと私、二人きりになったとしても、ありえないから。」
少し言い過ぎたかなと、心配になって柏原のほうを見ると、意に反して、まだ自信満々の顔でこちらを見ている。
ったく、どこからその自信が来るのか、無菌育ちのお坊ちゃまの神経は、分かりそうにない。
「素直じゃない奴だな。」
「は?」
呆れ顔の私に、不敵な笑みを浮かべた柏原が近づいてくる。
一歩近付く度に、一歩後ずさりする私。
5歩下がったところで、背中にひんやりとした、壁の感触が、伝わってきて止まった。