* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「お前、見た目以上に無いんだな。」
少し歩いた後、最初に口を開いたのは柏原だった。
「無い?何が?」
言葉の意図が分からずに、問いかける私。
「ぶっ・・・、すげえ貧乳。」
そう言った柏原の肩が、小刻みに震えている。
この男・・・、私が深刻な思いでいるのに、人の乳ネタで笑ってやがる。
パッコーン!と音が出るほどの勢いで、柏原の後頭部を殴った。
「ってーなー。本当の事だろ。」
柏原は大したダメージを受ける訳でもなく、変わらず私をおぶったまま、更に肩を震わせながら歩いた。
「ムカつくー!これからが成長期だもん。」
「はいはい。」
ムキになる私を、適当にあしらう柏原。
だけど、こんないつも通りのやり取りが、不思議と心を落ち着かせてくれた。
私の不安を取り除こうと、わざと楽しくしてくれてるの?
それにしたって、貧乳とは・・・。
「ほんと、ムカつく・・・。」
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