*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

柏原の用意してくれた食事は、どれも食べた事の無いものばかりで、

「もう入らない!」

なんて言いながら、あれもこれもと箸を進める私を見て、柏原が微笑む。


「もう入らないんじゃねえのかよ。」


「こんなにおいしい料理、生まれて初めてだもん。胃袋が破裂しても食べてやる。」


そんな私に、呆れたように、でもどこか嬉しそうに笑う柏原。


「ほんと、美味そうに食うんだな。」


「だって、どれも本当に美味しいんだもん。」


そう言って、鴨肉のローストを口に頬張った。


「美味しい♪」


「いつでも食わせてやるよ。」


「そういう訳にはいかないよ。今日は、バイト休んでまで買い物に付き合ったお礼として、御馳走してもらってるんだから。」


「やっぱり可愛くないな・・・、お前。」


そう言って拗ねる柏原をよそに、結局残す事無く、デザートまでいただいてしまった。


< 229 / 281 >

この作品をシェア

pagetop