* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「贅沢な暮し、してるよね。何これ、皮?」
「イタリアのデザイナーに、特別に作らせた本革。三千万円だ。」
ハーブティの注がれたティーカップをガラステーブルに置くと、そう言いながら私の横に腰かけた。
「さ、三千万!?あんた、お金の価値観、狂ってるよ?私だったら、三千万もあったら・・・。」
柏原との距離が近くて、緊張してしまい、まくしたてるように話したけど・・・。
三千万円なんて大きすぎて、何に使うかさっぱり浮かばない・・・。
「貯金・・・するかな。とりあえず。」
結局使い道が浮かばない、庶民な私(涙)
「ちょっとー、何か言いなさいよ。どうせ、貧乏とか、ケチくせぇとか、思ってるんでしょ?」
そう言って柏原を横目で盗み見ると、いつになく真剣な表情で、私を見つめていた。
私の胸が鼓動を早めて、顔が熱くなる。
ティーカップから立ち上る湯気から、懐かしい香りがした。