* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「このハーブティって、前にここに来た時、用意してくれていたよね?」
緊迫した空気をはぐらかすように、わざと明るい声で話しかけるけど、
何かを思いつめたような表情のまま、柏原は返事を返さない。
「しっかし、あんたがハーブティとか、笑っちゃうよね。」
カモミールのハーブティ、確かリラックス効果があるんだっけ?
一口飲むと、口いっぱいにフルーティな香りが広がる。
少し安らいだけど、相変わらず重い雰囲気の柏原の様子が、私を不安にさせた。
「何よ。あんたが静かだと、調子狂うじゃない。」
居た堪れなくなった私は、柏原に背を向け、ソファーの上で膝を抱えた。