* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「ごめん、柏原。言いたくないんだ。」
聞いてしまったら、あんたはきっと、私を軽蔑する。
あんたなんか、嫌いだったのに、今は嫌われるのがこんなにも怖いんだ。
「俺様には、知る権利がある。」
「何の権利?」
「俺様が知りたいから。」
「何?その俺様理論。」
なんだか子供っぽい発想に少し笑えて、少し救われた。
このまま、何もなかったようにこの部屋を出て行けば、明日は今まで通り、言い合ったり、バカやったり出来るよね?
そう思いたかったけど、柏原の真剣な顔を見て思う。
あぁ、コイツはいつも、本気なんだ。
私を捉える強い瞳を、もう逸らす事なんて出来なかった。