* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
その時・・・、キュンと胸が鳴いた。
トクン・・・、トクン・・・。
温かく、優しいリズムで刻む鼓動。
そうか・・・、これが恋なんだね?
好きって理屈じゃないんだ。
今、私・・・、心で感じ取ったよ。
私は、柏原の事が・・・。
―好き。
もう、自分の気持ちをごまかす事は出来ない。
この気持を、知ってしまったから。
溢れ出す、この思いを伝えたいと思った。
私を見つめる柏原の瞳を、逸らす事無く見つめ返す。
高鳴る鼓動をなだめるように、大きく息を吸い込んだ時―。
「もう遅いから、帰れ。車用意してもらうから。」
「・・・え?」
思わず漏らした声に、何かを言う事もなく、壁にかかった電話で、車の手配をする柏原。
思考回路が追いつかなくて、ただただ、柏原の行動を眺めていることしか出来なかった。