*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

「着きましたよ。」


気が付くと私は、柏原の手配した車に乗って、着いた先は自分の住む、ぼろアパート。


今まで、高級すぎる空間にいたせいか、余計オンボロに見えた。


柏原のいる世界と、私のいる世界は、あまりにも違い過ぎて、全てが夢だったとさえ、思ってしまう。


「ありがとうございました。」


感情のこもらない声で、事務的に運転手さんにお礼を告げ、車から降りた。



ポツリポツリと、雨粒が肌を濡らしていく。


「ははっ。ドラマによくあるシチュエーションだし。」


車の去る音を聞きながら、独り言を呟き笑った。


「おかしいな・・・。この雨、温かいや。」


雨と一緒に頬を伝う涙が、やけに温かく感じられる。


「―私・・・。

拒絶されたんだ・・・。」


一気に悲しみが押し寄せて、崩れるようにその場にしゃがみこんで泣いた。


まるで子供のように大きな声で泣き叫ぶ私の声は、激しく降り出した雨音によって、掻き消されていった。


 。○〇。。○〇。。○〇○。○。。○〇。 


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