*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

熱い吐息が耳にふりかかる。


柏原はジタバタする私の両手首を掴んで、耳から首筋、胸へと舌を這わせた。


その瞬間、幼い頃の記憶が、鮮やかに甦る。


呼吸が荒くなって、体の震えが止まらない。


それでも柏原は、私が感じているのと勘違いしているのか、その行為を止めるどころか、どんどんエスカレートさせていった。



私に触れる手、息づかい、全てに吐き気がして、怖くてたまらない。


「お・・・お願い・・・や、やめて・・・。」


必死に絞り出す声も、柏原には届かない。


悲しくて涙があふれ出す。


怖くて体の震えが止まらない。


唇を強く噛み締めて、じっと耐える。


数分が、何時間にも感じられた。




・・・お父さん・・・。

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