* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「瞳ちゃん・・・、私、ようやく気付いたんだ。柏原の事が、好きなの。」
「―はい。」
優しく返事を返す瞳ちゃん。
「昨日、その気持ちを伝えようと思った瞬間に・・・、拒絶されちゃった・・・。」
「―え・・・?」
驚いている顔が、電話越しでも分かった。
「今日は、どうしても学校に行く気になれなくて。心配かけて、ごめんね?」
「いえ・・・私の事はいいんです。でも・・・。」
益々心配そうに、瞳ちゃんは声を詰まらせた。
「大丈夫、明日にはちゃんと、元気に笑って学校に行くから。
だからお願い。この事は、柏原には言わないで。想いを伝える前で良かったんだよ。」
精一杯の強がりで、明るく努めて電話を切った。
そうだよ・・・。
想いを伝える前で、良かったんだ・・・。
瞳ちゃんからの電話の後は、ひっきりなしに柏原からの着信が続いた。
隙をみて、バイト先に休む事を連絡した後、携帯の電源を落とした。