* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
柏原とは、門の所で取り巻き女たちに隔離される状態で、離れ離れになった。
毎度の事なはずなのに、女の子の黄色い声の中心にいる柏原を見て、胸がチクンと痛む。
綾香なんて、密着し過ぎだし!
「もう・・・、今日は一緒に来てるんだから、空気読みなさいよ。」
誰にも聞こえない小さな声で、ボソリと呟いた。
輪の中心で笑顔を振りまく柏原をみて、また胸がチクンと痛む。
居た堪れなくなって、早足で逃げるように足を進めると、少し先に榊原くんが歩いているのが見えた。
「おはよう。榊原くん。」
「サラちゃん、おはよう♪」
そう言って、爽やかに笑みを零す。
榊原くんの笑顔って、ホント気持ちいい。
「それに比べて、あいつときたら・・・。」
「アイツ?」
思わず口に出てしまった言葉に、不思議そうに首を傾げる榊原くん。