* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
貧乏暇なし!
バタンッ!
「本当に、申し訳ありませんっ!!」
上がった息を整える間もなく、バイト先の通用口を勢いよく開けて叫んだ。
柏原のせいで、初日早々2時間の遅刻。
丁度、店長さんが机に向って仕事をしていたようで、大きな音と声に、驚いて振り向いた。
「あー、君、森山さんだよね?約束の時間、5時じゃありませんでした?」
大きなため息をついて、座ったままこちらに体を向け、店長さんが壁掛け時計を見ながら、怒りを込めて言った。
現在の時刻、6時55分、お怒り、ごもっともです。
「はい。大変申し訳なく思っています。」
言い訳をするのは嫌いな性分だから、謝るだけにして頭を下げ、次の言葉を待った。
「謝られてもねー・・・。うちは客商売だから、時間やルールを守れない人を、置いておく訳にはいかないんだよ。
他を探してくれるかな。」
パソコンの機械音だけが聞こえる部屋で、温度の低い声が響いた。
・・・ですよね。