*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

貧乏暇なし!


バタンッ!


「本当に、申し訳ありませんっ!!」


上がった息を整える間もなく、バイト先の通用口を勢いよく開けて叫んだ。


柏原のせいで、初日早々2時間の遅刻。


丁度、店長さんが机に向って仕事をしていたようで、大きな音と声に、驚いて振り向いた。


「あー、君、森山さんだよね?約束の時間、5時じゃありませんでした?」


大きなため息をついて、座ったままこちらに体を向け、店長さんが壁掛け時計を見ながら、怒りを込めて言った。


現在の時刻、6時55分、お怒り、ごもっともです。


「はい。大変申し訳なく思っています。」


言い訳をするのは嫌いな性分だから、謝るだけにして頭を下げ、次の言葉を待った。


「謝られてもねー・・・。うちは客商売だから、時間やルールを守れない人を、置いておく訳にはいかないんだよ。

他を探してくれるかな。」


パソコンの機械音だけが聞こえる部屋で、温度の低い声が響いた。


・・・ですよね。

< 31 / 281 >

この作品をシェア

pagetop