* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
店を出ると、榊原くんが笑顔で待っていてくれた。
「サラちゃんおめでとう!外まで聞こえてたよ。」
そう言って、嬉しそうに笑った。
「うん。どうしよう、本当に・・・嬉しい。」
我慢していた涙が、一気に溢れ出す。
最近の私、涙腺がバカになっているみたい。
ポロポロと、ためらいもなく零れ落ちる涙を、
榊原くんは優しく微笑みながら、一粒一粒、指先で拭ってくれた。
初日から大遅刻をしてしまった私に、チャンスを与えてくれたのは榊原くんだった。
榊原くんがいなかったら、途中で投げ出していたかもしれない。
「榊原くんのおかげだよ。榊原くんがいてくれて本当に良かった。ありがとね。」
言葉では伝えきれそうになかったけど、伝えずにはいられなかった。
「・・・だから。」
榊原くんが、小さい声で呟く。
「ん?」
月明かりに照らされた、榊原くんの頬が、赤く染まっているのが分かった。