*  翼をください   * ー俺様柏原の不器用Loveー

「つれないなー。」


そう言いながら、後ろからついてくる清四郎。


楽しそうに口笛を吹く姿を見ていると、


この人は、こうゆう人なんだ


と妙に納得して、不思議と怒る気になれなかった。


憎めない奴・・・。




男なんて、いつか裏切って女にひどい事をする。


だったら、清四郎みたいな付き合い方の方が楽でいいのかも。


そう思う私は、やっぱり特異な人間なんだろう。




「あいつ・・・、柏原の姿、最近見てないんだけど、清四郎何か知ってる?」


のんきに口笛を吹きながら隣を歩く清四郎に尋ねた。


「紋之丞?・・・はーん、アイツの事、気になる?」


意味深な笑みを浮かべて、激しく予想通りの反応を示した清四郎が、何やら楽しそうだ。


「気になるってゆうか、言いたい事があって。」


榊原君に聞いた、柏原の話。


あの酔っ払いの騒ぎの時、店長に事情を話してくれたのは柏原だった。


あいつのせいで騒ぎが大きくなったのは事実だけど、それはそれで、ちゃんとお礼が言いたかったんだ。


< 85 / 281 >

この作品をシェア

pagetop