* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「つれないなー。」
そう言いながら、後ろからついてくる清四郎。
楽しそうに口笛を吹く姿を見ていると、
この人は、こうゆう人なんだ
と妙に納得して、不思議と怒る気になれなかった。
憎めない奴・・・。
男なんて、いつか裏切って女にひどい事をする。
だったら、清四郎みたいな付き合い方の方が楽でいいのかも。
そう思う私は、やっぱり特異な人間なんだろう。
「あいつ・・・、柏原の姿、最近見てないんだけど、清四郎何か知ってる?」
のんきに口笛を吹きながら隣を歩く清四郎に尋ねた。
「紋之丞?・・・はーん、アイツの事、気になる?」
意味深な笑みを浮かべて、激しく予想通りの反応を示した清四郎が、何やら楽しそうだ。
「気になるってゆうか、言いたい事があって。」
榊原君に聞いた、柏原の話。
あの酔っ払いの騒ぎの時、店長に事情を話してくれたのは柏原だった。
あいつのせいで騒ぎが大きくなったのは事実だけど、それはそれで、ちゃんとお礼が言いたかったんだ。