* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
土曜日は、家の近くのコンビニを2件、掛け持ちでバイトして、
勉強にあてていた日曜日の朝、アパートの下で、清四郎が来るのを待った。
路地の向こうの方から、窮屈そうに大きな車が入ってくる。
「もう、どこのバカよ。こんな狭い道をあんな車で入ってきて。」
迷惑感をたっぷりアピールしながら、端に避けると、大きな黒いかたまりは、私の真ん前で止まった。
「おはよう、サラちゃん♪」
後ろの後部座席の窓が開いて、能天気な清四郎が顔を出した。
お前だったんかい!!
と激しく心の中でツッコミを入れながら、運転手さんが開けてくれたドアから入った。
「でかい車だね。」
「でしょ♪ベンツのクロカンモデルなんだ。早く自分で運転したいよ。」
褒めた訳じゃなくて、むしろ嫌味で言ったのに、この能天気坊ちゃんには、通じないか。