* 翼をください * ー俺様柏原の不器用Loveー
「行くよ。」
清四郎に肩を抱かれて、ハッと我に帰る。
「馴れ馴れしくしないでよ。」
そう言って、するりとかわし、2メートル位、離れて歩いた。
「サラちゃんって、ホント新鮮だよね。」
「どこが!普通です!」
明らかに、私の反応を楽しんでいる清四郎に続いて、
両サイドで礼をするドアボーイの間を抜け、ホテルに入った。
清四郎は高級そうな絨毯が敷き詰められたロビーを通り、慣れた様子でエレベーターへ向かう。
慣れない雰囲気と、居心地の悪い場違いな空気に押し潰されそうで、
金魚のフンの様に後にくっついて行った。