この空の下で


俯いていたら、
正面から足音が聞こえた。

嫌だな、泣いてるのに…
なんて思いながら制服の袖で涙を拭き、その人を見ようとした。








顔を上げたのと同時に感じた、ぬくもり。


あたし、この感じ知ってる。






「はや…て?」









ああ、あたし
颯に抱き締められてるんだ。



初めてだなぁ…あったかい、懐かしい、この匂い。








颯「ごめん、な」








何故か颯の体は、
震えていた。




颯、泣いてるの?
どうして泣いてるの?










泣かないで


颯は笑ってて







笑いかける相手が
あたしじゃなくても
いいから、だから














あの日みたいに








笑ってよ。





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