EBE-地球外生命体-
「楽しいかどうかはわからないけど、収穫は無かったよ」

僕は大きな瞳を細めて見せた。

地球人はコミュニケーションをとる時に器用に表情を変えるけど、僕らグレイにそういう文化は無い。

今の所はこれが精一杯の感情表現だ。

「代わりに…ごめんハワード。アブダクション1件…」

「ええ?また目撃されたのかい?」

僕が言うと、彼は困ったように頭を掻いた。

「気をつけてくれって言ったじゃないか。危害を加えないとはいえ、あんまりアブダクションを繰り返すとタブロイド紙の連中が騒ぎ出す。日本にもこういうの研究している奴がいるんだ。ジュンイチ・ヤオイだったかな?」

「気をつける」

…正直、アブダクションというのは僕も好きではない。

アブダクションされる地球人の方も、恐怖を感じている筈だ。

友好的に接したいのに、あまり怖がらせたくはなかった。

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