EBE-地球外生命体-
コーヒーを僕に差し出しながら。

「ラッセルの診断結果はどうだった?」

予想通り軽いジャブから、ハワードは探りを入れてくる。

…コーヒーを受け取り、一口飲んで、僕は慎重に言葉を選ぶ。

「特に体に異常はないそうだよ」

もしハワードが僕に薬を盛った張本人であり、異星人ならば、真っ先に僕の体調を知りたがる筈だ。

どの程度の効果が表れているのか、知りたい筈だ。

「へぇ、そうか」

にこやかに笑うハワード。

眼鏡のレンズが、通路の蛍光灯の光を反射して妖しく光る。

彼はその眼鏡の蔓を指先で押し上げて。

「ラッセル達は僕を疑っていたかい?」

ズバリ確信を突いてきた。

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