新撰組 浅葱の衣を纏う者
一週間前――――



『高杉殿、この度、清河様が浪士組の参加者を募った話はご存知ですね?』



『ん、ああ、知っている』



高杉は出した茶を飲みながら言う



『今回は、その浪士組に貴方の部下、黒笹 蓉を入れて戴きたいのです』



高杉は口に含んでいた茶を一気に噴き出した

勿論、その茶は使いの者に命中する



『…………高杉殿?』



使いの者の声は怒りに満ちていた



『あっ、わりぃ。』



高杉は笑いながら謝罪をする



『だが、その要件、断る』



『………何故に』



使いの者は顔にかかった茶を袖で拭きながら言う



『何故って………当たり前だろ?あんな剣豪を離れさせては、俺の身が危うくなるし。まだ面白そうなんで、こっちに置いときたいんだよ』



『…………そうですか』



使いの者は茶を飲み干すと、立ち上がった



『じゃあ礼金の百両も無し、ですね』



『ちょっと待った!!』


高杉は使いの者を引き留める



『今、百両と言ったな?』



『ええ』



『…………いいだろう。その話、乗った』



使いの者は、吃驚した様に、眼を見開くが、口がすぐに弧を描いた



『承知つかまつりました』



そういう事になった






< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop