新撰組 浅葱の衣を纏う者
「うっし、じゃあ明日、小石川伝通院に行け。そこから出発だ」



「明日ですか?ちょっといきなり過ぎます。そもそも準備ってものが……」



「大丈夫だ、こっから伝通院までは近いしな」



「そういう問題ですか?」



蓉は呆れた様にため息をつく



「まあ、隣の部屋を借りたから、今日はそこで寝ろ」



「はあ………」



「ほらよ」



と、高杉は袴と小袖を蓉に投げ渡す



「どうせ着替え持ってきてないんだろ?それ、やるよ」



「うわっ、晋作さんにしてはよく分かってますね。分かり過ぎてて不気味……」



「黙れ。と言うか礼を言え」



「どうも有り難うございましたー」



「なんかムカつくな」



「………さてと」



「無視か」



蓉は立ち上がり、部屋の襖に向かう



「んじゃ、お言葉に甘えて部屋、借りさせてもらいます」



「おう、じゃあな」



「良い夢を、さよなら」



と、蓉は部屋を出て行った
なぜか、蓉はいつも、寝る時に「おやすみ」ではなく「さよなら」と言う

理由は高杉も知らない。昔からの癖だと、本人は言っていた事を覚えている



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