Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第二話

初恋の密度

ここしばらく続いた快晴が、まるでうそであったかの様に、今日の空は、朝からどんよりとしていた。そして神経を逆撫でしそうな、人込みであふれかえったスクランブル交差点。二つの悪条件が重なれば、行き交う人々も、どこかせわしない。
ごった返しになっている人々。それは、一見活気のある風景の様に見えるが、今日の空模様にも負けず劣らずと言った、人々の疲れ切った表情が、そうでないことを物語っている。
それはもしかしたら、オフィスビルの建ち並ぶ、無機質な印象を受けるこの都会の表情そのものなのかもしれない。
そんな灰色の街の中に飲み込まれまいと、肩で風を切って歩く一人の少女がいた…

「…ったく、どいつもこいつも、ほんまに不景気な顔しよって！せっかくの休日やゆーのに、気分台無しや！」