18年分の想い

あたしははじめ君と海にやって来た。

洋介が死ぬ前によく2人で来ていた海。

あたしは洋介の灰が入っている袋を取り出した。

そして海に流した。

はじめ君はあたしの後ろで
その行為を見守っている。

すべてを流し終えた。

「ここの海、洋介とよく来てたの。直也に内緒で…洋介はこのキレイな海が好きだったから…



はじめ君、あたし直也と別れたの。洋介との事を全部言って。
今のあたしはどれだけ酷い事を言われても仕方ないから、覚悟はできてたの。
でも直也は酷い事なんて何も言わなくて…余計苦しかった。直也は絶対傷ついてるのに…。」
あたしの目からは
また涙が溢れ出した。

「はじめ君…あたしまだ洋介が死んだなんて思えないよ…。洋介とあたしには当たり前の様に未来があると信じていたから…」

このまま時間がたてば
洋介のぬくもりも思い出の中でしか思い出せなくなるのかな…。
笑顔の洋介も。
ううん、あたしは忘れない。
最後まで一緒にいれなかったあたしは、洋介の事を忘れちゃいけない。
ずっと
ずっと
覚えてるよ。

ありがとう神様。
洋介に出会わせてくれて。
もっと自分の気持ちに素直だったら、今とは違う未来があったのかな。
あたしは洋介にメールを送った。
「洋介の事、好きだった。素直になれなくてごめんね。洋介の事たくさん傷つけてごめんね。ありがとう。」

洋介の携帯は洋介の体と一緒に火葬してしまったから、あたしのメールは届くはずもないけど、あたしの気持ちが洋介に届いたら良いな。
洋介があたしを愛してくれた18年間は絶対に忘れないよ。
洋介に出会えて幸せだったよ。
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