18年分の想い

病院に着くとはじめ君は放心状態のあたしの腕を引き、
病院の奥の部屋に案内した。

「…ここです。」


はじめ君に案内されたこの部屋には昔1度だけ入った覚えがある。

微かな記憶の中、ずっと入院していたおばあちゃんが亡くなって、入った部屋だった。


冷たい部屋の真ん中のベットの上に


洋介が眠っていた。




洋介はいつもみたいに笑いもせず、静かに横になっていた。

「…兄貴は愛梨さんを送った後、バイクで事故に…」

はじめ君は…
泣いていた。

あたしは呆然とする事しかできなかった。

でもすぐに涙が頬を伝って流れた。

冷たくなった洋介の体にしがみついて泣いた。


「…よぉすけ…。なんで…こんなに…キレイなの…に。」

「…兄貴が死んだのは頭を強く打ったからだって…」



どうして
洋介が忘れ物をしたと言った時、止めなかったのか


どうして
あたしも行くと言わなかったのか

あたしが付いて行ってれば
洋介を1人にしていなければ

こんな事にはならなかったかもしれないのに。


洋介は
何も言わず
あたしの前から姿を消して
永遠という

長い

永い


眠りについた。
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