happyマジック
目を開けると忍が痛そうに額を押さえている。
そりゃ、狭い教室でコケれば机の角にもぶつかるよ。
やっぱ忍はアホだ。
「いってー。ヤバい。これはヤバいって」
「じゃあ死ね」
裕城はさらりと言うと、何事もなかったかのようにクールに席についた。
教室の皆は唖然としている。
そんな中、未だに痛そうに頭を抱えている彼。
授業は一向に進まない。
しょうがないな。
「先生」
私はゆっくり手を上げ、振り向いた先生に聞く。
「忍を保健室まで連れて行くので授業再開してください」
先生はまだ動揺を見せながら、
『ああ、頼む』
っと小さく解釈した。
「忍、行くよ」
そう言って、まだ頭を押さえて立ち上がらない忍を押して教室を出ていった。