happyマジック
「おいっ、聡平。てめー居留守使ってんじゃねーよ」
あれ?
扉を開けて入ってきたのはご機嫌ななめの忍だった。
「い、いやあ。さっき忍が紗苗の家に行くの見えたからこっち来るかなあって」
「じゃあ開けろよっ」
忍が聡平の首を腕にかけ、聡平はギブギブっと苦しそうに声を出している。
目の前で繰り広げられる光景に目が点になる。
「忍……どうしたの?」
私が声をかけると、聡平から腕を放し私の隣に座った。
「紗苗ん家行ったら聡平の家にいるっていったから来た」
私の剥きかけのみかんに手を伸ばし、そのうちの1つを口の中にいれた。
……まだ私食べてないんだけど。
「聡平。俺にもお茶」
しかも偉そうに命令してるし。
その言葉にお茶を作りにいく聡平もどうかと思うけど。