happyマジック

私は空を見上げた。



冬の、高い空。



私はこの寂しげな空が好きだ。



澄んだ空気に降り注ぐ光が遠慮がちに私を照らす。



暖かくならないのに、頑張って光る太陽。



そんな一生懸命に見える冬の太陽のいる空がとても愛おしく感じる。



自分が生まれた季節ってのもあるかもしれないけど。



そんな、この時期が一番好き。



「紗苗」



作り終わったのか、忍が出来上がった風船を持って私の隣に座った。



そして、手に持っていた風船で出来た犬を私の膝の上に置いた。



「やるよ」



「あんなに一生懸命つくったのに?」



「別に欲しかったわけじゃねーし」



忍は照れたようにそっぽむいた。



作りたかっただけなのか。



出来上がった風船を手にとり、まじまじと見つめた。



……なかなか上手く出来てる。



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