happyマジック

「紗苗じゃん」



背後からの声。



声の人物を頭に浮かべて振り返る。



「今日学校休みなのに何しに来てんだ?」



とぼけた顔の少年。



私はその少年の前に傘を突き出した。



「忍のお迎え」



一言言った。



忍は一瞬ボケッとした目で私を見るとすぐに恥ずかしそうに私から目を背けた。



「……そ、そんだけのためにわざわざ来たのかよ」



「うん」



忍は気づいてない。



照れた顔を隠そうと横向いてるけど、横顔が真っ赤で、すごい嬉しそうな顔をしてるのを。



そんな態度とられたら、傘届けに来た私も嬉しくなる。



休みに学校来るのも悪くないな、ってね。



傘を一本渡して、玄関を出る。



傘があるから、今日は手を繋げないのがちょっとだけ残念。



「あれ?お前の傘そんなんだったっけ?」



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