happyマジック
「さむっ」
てっぺんからつま先まで、冬の風が体にしみる。
マフラーをしても手袋をしても繊維の隙間を抜けて冷たさは伝わってくる。
歩くアスファルトの紺色も寒々しく見える。
「忍は手袋なくて寒くないの?」
隣を歩く少年は、何故か手袋をしていない。
去年はしていた気がするが今年は一度も目にしてない。
「っつかさ、何でお前は毎日手袋してんの?」
「寒いから。
当たり前でしょ」
疑問に思う方が変だと思うけど。
なのに忍は答えを聞くと不服そうに両手をポケットに突っ込み、
近くにあった石を蹴りながら歩き始めた。