happyマジック
「なんて聞かれたの?」
「えっとねぇ、彼氏?とかどんなやつ?とか。
仲良くなりたいのかなって思った」
俺のこと調査してるな。
そんなこそこそ調べなくても紗苗は俺のことなんて全く眼中にないのに。
「それで紗苗はなんて言ったの?」
「彼氏じゃないよって。でも裕城と聡平はずっと一緒で家族みたいに大好きだから、彼氏とかいらないって言った。
今のままで楽しいし、特定の彼氏なんて作る必要ないよね?」
俺は微笑んでそっと紗苗の頭に手を置き優しく撫でた。
驚いたと同時にホッとしたからだ。
当分、大丈夫だ。
家族でも何でもいい。
まだ紗苗と今のまま一緒にいられる。
そう思うと嬉しくてしょうがない。
『好き』
この気持ちはまだ俺の中に閉まっとこう。
紗苗がもう少し大人になるまで大事にとっとく。
俺も紗苗が幸せなら今はこのままで十分だ。
回想2
(なのにあっさりこんなバカに持ってかれるとは)
(バカじゃねーし)
(……また喧嘩)