happyマジック
いつからだ?
紗苗に目がいくようになったのは。
最初っから俺に興味なさそうで、欲しがるのはいつも俺ばっか。
好きなのはわかる。
だけど俺の好きが大きすぎていつも俺ばっか追いかけてる。
悔しい、悔しい。
「忍の部屋来るの久しぶりだね」
ベッドに寄りかかりホットココアを両手で持ちながら紗苗が言う。
確かにお見舞いに来て以来だ。
なんだかんだ紗苗は人気者だから、双子が占領しようとする。
だから一石二鳥ということで俺が紗苗や聡平の家へ行くことが多い。
っというか俺が仲間外れみたいな気分になるから集まってるところに押しかけるだけだけど。
「忍、何か怒ってる?」
「怒ってねーし」
そういうこと考えるとどうしても悔しくて不機嫌になってしまう。
こんな俺を見ても困った顔をしないでいつものことだと落ち着いている紗苗にちょっと安心する。
困らせたくないしな。
でも動揺しない紗苗を見るとそれもちょっと悔しい。