happyマジック
「あれ、聡平くんだ」
たまたま近道で通った神社で彼女は俺に声をかけてきた。
「忍のねーちゃんじゃないっすか。こんなとこで何を?」
「えっへへー。大学の帰り。これ何でしょう」
そう言って見せたのは手帳の上に乗った桜の花びら。
俺は紅葉さんの来た方向に目を向けた。
あ、桜の木。
ピンク色に染まった木から落ちる花びらはとても綺麗だった。
「一枚あげる」
「あ、どうも」
正直もらってもどうすんだこれ。
「どうすんだこれって思ったでしょ」
ギクッ。
「あはは、図星~。
聡平くんってわかりやすいね」
「からかわないで下さいよ」
俺はちょっと熱くなった顔を隠そうと視線を地面に移した。