春になるまで
2
理事長室から出ると、私たちは無言のままエレベータの前に来ていた。
はっきり言って気まずい。
階数を照らすランプを見ながら、2を照らすと静かにエレベータの扉が開いた。
成瀬が乗ると、後に続いて私もエレベータに乗った。
「教室、7階だから間違えないようにな」
「はい」
それだけ伝えると成瀬はまた黙り込んでしまった。
私は特にすることもなく、小さい声で歌を口ずさんでいた。
「……“Rain”」
「え?」
7階に着くと同時に成瀬は口を開いた。
「その曲、好きなんだ」
成瀬は照れ臭そうに頭をかきながら、微笑んで言った。
先程とのギャップに驚きつつも私は嬉しくて、
「ありがとうございます」
と満面の笑顔を成瀬に向けた。
歌で褒められたりするのは世界で一番大好きなこと。
だって……私には歌をとったら何一つ残らないから。
歌を歌うことが唯一の存在理由だと信じていた。
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はっきり言って気まずい。
階数を照らすランプを見ながら、2を照らすと静かにエレベータの扉が開いた。
成瀬が乗ると、後に続いて私もエレベータに乗った。
「教室、7階だから間違えないようにな」
「はい」
それだけ伝えると成瀬はまた黙り込んでしまった。
私は特にすることもなく、小さい声で歌を口ずさんでいた。
「……“Rain”」
「え?」
7階に着くと同時に成瀬は口を開いた。
「その曲、好きなんだ」
成瀬は照れ臭そうに頭をかきながら、微笑んで言った。
先程とのギャップに驚きつつも私は嬉しくて、
「ありがとうございます」
と満面の笑顔を成瀬に向けた。
歌で褒められたりするのは世界で一番大好きなこと。
だって……私には歌をとったら何一つ残らないから。
歌を歌うことが唯一の存在理由だと信じていた。
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