春になるまで
第一印象は西洋風。
茶色の煉瓦づくりの建物に、大きな窓が印象的。
学校全体を覆う緑色の森に、奥にあるのは真っ白な教会。
こういうところに慣れていない私にとって、少し入るのを躊躇うような外観。

一歩踏み出せば、その場所に溶け込むような感覚に……私は足を踏み出せずにいた。
こんな私がこのような場所にいてもいいのだろうか。
私は汚れてて、本来ならばここにいてはいけない存在なのに……。

そんなことを考えていたけど、前に進まなきゃ何もはじまらないということで、私は恐る恐るその敷地の中に足を踏み入れた。
辺りを見回しながら一歩一歩前へ歩いて行く。
時間も時間だからか、学校内はすごく静かで心臓のドクドクいう音が直に耳に伝わってくる。

玄関と思われるところに、ちょっと年のいった男性がいて、私に気がつくなり足早に近寄ってきた。

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