俺が彼女を好きな理由 ~嘘つきな俺~【短】
自分が嫌になる。
帰り道、どうにもならないいらついた気持ちが俺を苦しめた。
足取りも重く、家にたどり着く。
「あれっ兄貴?ずいぶん帰って来るの早くね?」
ケンタが居間のテレビを観ながら振り返る。
「…別に。たまに早く帰って来たっていいだろ?部活ない日だし」
ケンタはまじまじと俺の顔を見て呟いた。
「…何かあった?」
たまに鋭いうちの弟。
「…ちょっとな。
まあ、また女と別れただけだよ…」
そう言った俺に、ケンタはテレビの方を振り返りながら呟いた。
「好きでもない女と付き合うからじゃん」