この手で紡ぐ神の欠片



公園なのだから、
人間がきて当たり前なのだが
私は警戒して
ケルべロスのそばまで行った。

私の強張った顔を見て、か
ケルべロスが口を開いた。

『安心しろ』

人影が、近付く。

露になる、姿。

誰だろう。

近所の人か子どもか誰か。

余り人がこないこの公園に。


たった3秒の間に
私は様々なことを考えたが

その人影の主の声で、

考えは全て吹き飛ばされる。


「――もしかして、珠輝?」

聞き覚えのある声に、
目を丸くして

「え、詠人ぉ?」

私はそう声を出した。

いつもの銀縁の眼鏡に、
私と同じ学校の
ダークブルーのブレザー。
女たらしで、
嫌いじゃないあの男子。

クラスメイトで、
微妙な関係をしている、

天宮詠人だった。



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