この手で紡ぐ神の欠片



――…大丈夫。

一瞬焦ったが、
私は強く自分に言い聞かせた。

――…詠人には見えない見えない見えてない。

私は詠人の方へ頭を戻し
できるだけいつもの調子で
声を掛けた。

「えーっと、詠人何故ここに?」

のそのそと、
ケルべロスが近付いてくる。

あの犬動くなよ、と
内心イライラはしていたが
あくまでスマイル。

普通に、普通に。

変わってる私なりに、
普通に普通に!

「詠人?」

ハッ、と
我に返ったように
詠人が私に視線を戻した。



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