この手で紡ぐ神の欠片



「いや、別に」

詠人がそう言ったとき、
ケルべロスが
詠人の隣に座った。

そりゃもう、
余りにも普通に。

冬なのに、
冷たい汗が背中に流れた。

ひゅおぉ、と風が吹いて
木の葉と体温をさらった。

「珠輝はなんでここに居るの?」

何気ないように詠人が言った。

嫌味でもなく、
投げられたのは疑問と、

「もしかしてオレを待ってた?ストーカー?むしろストーキング?いや、女だからストークイーン?」

馬鹿な言葉。

私は苦笑いをした。

上手い言葉が見付からない。
あんど、追い付かない。



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